various things review

色々な物(主に本)をレビューします。基本的に私が良い!と思った物をご紹介して、皆様のご購入等の参考にして頂ければと思ってます。

お金と感情と意思決定の白熱教室 第六回私たちは何のために働くのか?~仕事のモチベーションを高める方法~ レビュー

行動経済学、シリーズ物のレビューです。

http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/behavior/index.html

------過去シリーズはこちら----------------

第一回 人間は不合理な存在である レビュー

第二回 あなたが人に流される理由 レビュー

第三回デート必勝法 教えます!?~人々の感情をどう動かすか~ レビュー

第四回ダイエット成功への道!~自分をコントロールする方法とは~ レビュー

第五回お金の不思議な物語 レビュー 

第六回私たちは何のために働くのか?~仕事のモチベーションを高める方法~ レビュー

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今回でお別れ!ダン・アリエリー教授の登場です!

http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/author1343.png

※画像はhttp://1000ya.isis.ne.jp/1343.htmlより

※2014/7/21追記こんな本が出てるなんてしらなかった! もっと知りたい人はこちらを読むとよいのではと。

 <<クタクタなりのまとめ>>

第六回私たちは何のために働くのか?~仕事のモチベーションを高める方法~

今回もまた、一段と興味深い話題が盛りだくさんでした。

仕事に関してです。

白熱教室最終回の今回、じっくり見て行きましょう!

ボーナスが逆効果に!?

ボーナスは社員のモチベーションをあげるために出されるはずだ。

しかし、逆にモチベーションを下げる時もある。

社会的な世界・金銭的な世界

お金が絡むか否かでモチベーションがかわる

社会的な世界

何も貰えなくても喜んでやるような世界。もし私はイチローにちょっとバッティングピッチャーやってと言われれば、何も貰えなくとも喜んでやるだろう。

金銭的な世界

お金をもらう世界。イチローに家の引っ越し手伝ってくれといわれて、お金も出すよと言われたとする。でも時給800円だったとする。

多分、え!?800円じゃなーと思い始める。金銭が少ないとモチベーションを下げてしまう。

共存世界

この二つの世界は共存できない。なので、最初にあまりお金を考えてなかったのに、お金の要素が入ってくると、やる気が下がるかもしれない。

自分が好きで少年サッカーのコーチやってたのに、報酬を渡されはじめたら、給料少ないし、やっぱりコーチやめよっかなになるかもしれない。

完備契約・不完備契約

どのように契約しておくかで、モチベーションがかわる。

完備契約

それぞれの仕事と報酬を決めておく事。

少年サッカーのコーチ手伝ってよ。シュート練習と作戦会議参加してもらいたいんだ。それぞれ◎◎円と△△円払うよ。みたいな。

不完備契約

大まかに仕事を決めておく事。

少年サッカーのコーチ手伝ってよ。◎◎円出すんだけど、できることからやってもらえば助かるよ。

みたいな。

余計な事もやりやすい

不完備契約なら、色々頼まれても追加でやりやすいが、完備契約なら、追加で頼まれると、「え、それっていくら貰えるんですか?」とかそう考える様になって、お金貰えないならやらないとなってしまうかもしれない。

日曜日のサッカーコーチも手伝ってくれない?

完備契約:「■■円くれるならいってもいいかな」

不完備契約:「まぁコーチ業に入ってるし楽しいから言ってもいいかな。」

残存効果

何を報酬とするかでモチベーションがかわる。

  1. ボーナスをあげた
    翌日:15%成果が落ちた

  2. 物(ピザ)をあげた
    翌日:1と3の中間になった

  3. メッセージ(褒めたり)をあげた
    翌日:何も貰えなかった人とくらべて成果が上がった

1〜3どれも、その日は成果が上がった。

しかし、翌日に違いが見られた。

お金を渡すと人々は計算高くなり、成果が下がることもあるということ。

満足感?相手との関係性?

相手の何を高めたいかでプレゼントを変える。

お金は一時的な満足感は高めるかもしれないが、関係性は深まらない。

  • お金の代わりにアパートを貸す
    →あの人のお陰でここに住めているとか思える。家賃相当の金額を毎月渡してもあまりそうは思われない。

  • プレゼントに自分の名前を彫った物を渡す
    →常に思い出してもらえる

効果的なお金(ボーナス)の渡し方1(与える人を考える)

効果があるのは、この人はもっと頑張れるはずだというときだけ。

ボーナス渡しても成果が改善されなければ、本来の意味としてはないので。

実験:優秀な人と優秀でない人にボーナスを与えてみた

売り上げは、優秀でない人に与えた時の方が伸びた。

(優秀な人は元々優秀なので、お金貰えない時でも優秀にやるので。)

効果的なお金(ボーナス)の渡し方2(グループとしての成果を高める)

実験

  1. 15ユーロを自分のために使ってもらう
    →売り上げが4ユーロ伸びた
  2. 15ユーロで他人にプレゼントを買ってもらう
    →売り上げが73ユーロ伸びた。
     グループとしての団結力が上がった物と思われる。

苦労とやりがい

幸福感を味わうためには辛い体験も必要。

登山なんか辛い事ばかりなのに、なぜ皆登山するのか。

やりがい があるからではないのか?

やりがいとは「自分を理解し成し遂げたことを振り返ること」である。

やりがいがなかったらどうだろう?

  • 山の頂上が閉鎖されていたら上るだろうか?
    前進し続けていることと、達成可能だと思えることが大事

小さなやりがいでも大分かわる

モチベーション実験1:有意義条件・シーシュポス条件

レゴブロックでロボットを作ってもらう。

1個作ると3ドル報酬を得る。

2個目は30セント下がって2ドル70セントの報酬。

これを作る毎に30セントずつ下げて行って、いつやりたくなくなるかを調べる実験。

(報酬と時間が見合わなくなるのはいつかを調べる)

  • 小さなやりがいがある時は11個組み立てた
    →小さなやりがい=ロボットが出来て行く意味を感じるということ。
     これを有意義条件とした

  • やりがいがない時は7個組み立てた
    →作ったら次作ってる間に1個目を壊してみせた。
     これをシーシュポス条件とした

シーシュポスの岩

シーシュポスは罰として、タルタロスで巨大なを山頂まで上げるよう命じられた(この岩はゼウスが姿を変えたときのものと同じ大きさといわれる)。

シーシュポスがあと少しで山頂に届くというところまで岩を押し上げると、岩はその重みで底まで転がり落ちてしまい、この苦行が永遠に繰り返される。

このことから「シーシュポスの岩(:the stone of Sisyphus)」「Sisyphean labor」の語は、日本での「賽の河原」同様に「(果てしない)徒労」を意味する(この「シーシュポスの岩」については、タンタロスにも似た話が伝えられている)。

 ※http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9D%E3%82%B9より引用

ぶっちゃけ、レゴのロボットを作るだけだし、有意義条件の方だって、終わればレゴは分解される。そんなにやりがいの違いがあるわけではないが、それでも違いが出た。

人はやりがいの重要性を過小評価する傾向にある。

尚、ロボット作成好きの人で同じことを試みた所、有意義条件のときは、より作成個数が増えたのに対して、シーシュポス条件の時はロボット作成好きでも作成する意欲は湧かなかった。

苦労が目に見えて記録されるというのは大事な事のようだ

モチベーション実験2:認知・無視・シュレッダー

ちょっとした作業をしてもらうが、その結果を検査監視員が

  • チェックする(認知)
  • チェックしない(無視)
  • チェックしないですぐに破棄する(シュレッダー)

の3パターンで行った。

結果、いずれも同じ報酬をもらう設定だったが、シュレッダーのパターンが一番早くやる気を失った。

また無視のパターンでも、ほぼシュレッダーに近い結果となった。

このことより、認知をしないということは、シュレッダーにかけているのとかわらないと言える。

モチベーションを下げないためには

努力が無に帰る時、モチベーションを失うが、そうならないためには、無にはなったがその努力を認知してあげて、評価すると良い。

だから、私はこのブログを通じて、継続して努力していることをつぶやいたり記録したりしている。もし、成果がでなくても、毎日頑張ってやった!ということを発表できるからだ。

自分一人で鬼トレ2年間継続してて、もし一切記憶力よくなんなかったら、「なんだったのこの2年!もういーや!」となるかもしれない。

でも、2年間やったという(自分としての)偉業を皆に知ってさえ貰えれば、がっくりは来ないかもしれない。

やりがいの創造

たまご理論

簡単に作った物では愛情を注げない。

少しでも手間ひまをかけると愛情を注げる。

カップラーメンを作るだけなら手料理にはならないが、カップラーメンに一手間自分オリジナルのふりかけをかけたり、何かすれば、それだけで、手作り気分を味わえる。

手間が減る事ばかりやっていると、楽しみが減ったりする可能性があるとも言える。

自分が作った物の評価は高まる

実験:折り紙で鶴を折る

自分が折った物にいくら払えるか?

作者は高値を付けて、その他の評価者は支払いたがらなかった。

作者は自分以外それをほしがっていない事をあまり認識できていなかった。

実験:折り紙で鶴を折る(難易度 高)

より難しい説明書を見て作ってもらった。

当然出来映えは難しいので悪くなるのだが、

作者はさらにすばらしいと思い、より高く買い取っても良いと思った

評価者はさらにひどいと思った

労力を注げばそそぐほど、素晴らしいと思う。と言える。

アリエリー教授は自分の子供は正にそうだろうと言っている。

  • 他人に子供を売ってもらうことになっても買いたがらない(労力がすごいので)
  • 自分の子供なら、大切なので、いくらお金を積まれても売らない

作者は高値を付けて、その他の評価者は支払いたがらない状況と一緒であるといえよう。

歯ブラシ理論

イデアも同様である。自分で考えたアイデアは欲しいが、他人の考えたアイデアはあまり要らない。歯ブラシと同様に自分のが1本あれば充分なのだ。

まとめ

報酬を増やせばモチベーションはあがるが、モチベーションに関わる物は報酬だけではない。人はお金だけで報われるのだろうか?お金以外も大事なのではないか。

昔は、自分の作業と出来上がる物が見えやすかったが、現代の仕事は分業されすぎて、自分のやっていることが何になっているのか見えづらい。何ができあがるのかがわからなければ、やりがいは大きく下がるだろう。

所感

ざっくりみていくと

  • お金は逆効果
  • 社会的・金銭的世界
  • 完備契約・不完備契約
  • 残存効果
  • 満足?関係性?
  • ボーナスを与える対象
  • ボーナスの使い方
  • やりがい
  • 認知
  • たまご理論

こんな感じだったが、何より気づかされたのが、仕事のやりがいは、自分の内面と向き合うだけじゃなく、他人がどう受け取ったりするかが大きく関係している気がした。

 

天職なら、自分だけで完結できるのかもしれないけど、もしあまり好きで働いているわけじゃない人がいたら(というか大多数はそうだと思うのだけど)、その仕事内容というよりは、仕事仲間やお客さんにどういうふうに受け止められのかによって、やりがいが大幅に変わるのだろうな と気づけたことは大きい。

 

やっぱり、意味を考えて行動するってのは大事だなとつくづく感じました。

これで行動経済学白熱教室は終了で悲しいですが、行動経済学の本は買って行きたいのでいづれレビューする機会もあるかと思います。

関連書籍

読み切ったけど、超面白かった。私にとっては名著の一つだよ!

 

------過去シリーズはこちら----------------

第一回 人間は不合理な存在である レビュー

第二回 あなたが人に流される理由 レビュー

第三回デート必勝法 教えます!?~人々の感情をどう動かすか~ レビュー

第四回ダイエット成功への道!~自分をコントロールする方法とは~ レビュー

第五回お金の不思議な物語 レビュー 

第六回私たちは何のために働くのか?~仕事のモチベーションを高める方法~ レビュー

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仕事についてはこちらも良いかも

幸福学 白熱教室 第2回 仕事を天職にする方法 レビュー

 

ちなみに、私のオススメのポジティブ心理学も是非どうぞ


 

 ※2014/7/21追記こんな本が出てるなんてしらなかった! もっと知りたい人はこちらを読むとよいのではと。


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